コラム

充填とは?意味や種類、製造業における充填の特徴を業界別に解説

充填とは、さまざまな業界・分野の仕事で使われる言葉です。日常で当たり前に目にしている商品や建物などは、充填という作業が必要不可欠となっています。
ただし、製造業や建設業、歯科治療など業界によって充填の意味や内容が異なります。

この記事では、充填の意味や種類、業界別の特徴について解説します。

充填とは?

充填とは「欠けているところや空いている空間にものを詰めて塞ぐこと」をいいます。
製造業や建設業、医療業界でよく使われる言葉ですが、業界ごとに充填作業の内容は異なります。

製造業における充填

製造業では容器に内容物を詰めることを充填といいます。
ここでいう内容物とは、食品や飲料、化粧品、医薬品と様々で、液体・粉末・顆粒などあらゆる状態に対応しています。
これらの内容物を容器に注入する際に使用されている機械を充填機と呼び、すべての作業を機械が自動で行う「全自動充填機」と、一部の工程のみ手作業で行う「半自動充填機」があります。

建設業における充填

建設業では、コンクリートのひび割れ、隙間などに樹脂やモルタル、シーリング材を埋めることを充填といいます。
補修作業以外にも、建物内部への水の侵入を防ぐ防水・止水を目的とした穴埋めなども建設業における充填作業の一つです。

歯科治療における充填

医療業界の中でも歯科治療における充填とは、歯に詰め物を入れることをいいます。
虫歯治療などで、虫歯になってしまった部分を取り除き、空いた穴にセラミックや金属を詰める治療法を充填治療といいます。

充填の種類

製造業における充填には様々な方式があります。液剤・粉末・顆粒など、充填物の状態によって向き不向きがありますので、以下より解説していきます。

液剤の充填方式

液剤の充填方式には5つの方式があります。

  • ビストン式(容量式)
  • 重量式(ウエイト式)
  • ぺリスター式(チュービングポンプ式)
  • ポンプ式(ギヤーポンプ式)
  • 質量流量式

ピストン式(容量式)

ピストン式は注射器のような部品を使用し、ピストンを引く動作により液剤を吸い上げ、ピストンを押す動作により、液剤を吐出します。
液剤を吸い上げる 、または 吐出する際に液剤の流路を変更する必要があり、切替えバルブが使用されます。

重量式(ウエイト式)

容器内に入る液剤の重さを秤で計量し、目標重量になる直前で液の流れをバルブを使用して止めます。
そして、液剤の入ったタンクに空気で圧力を掛けて送液します。

ぺリスター式(チュービングポンプ式)

ステンレスローラーが回転し、シリコンチューブを潰すことで液剤を送り出します。
ピストン式や重量式のような、液の流れを止めるバルブは使用しません。

ポンプ式(ギヤーポンプ式)

羽根状のプロペラを廻すことで液剤を送り出します。
ペリスター式と同様、液の流れを止めるバルブは使用しません。

質量流量式

流量計を使用する充填方式で、重量式同様に液剤タンクに空気で圧力を掛けて送液します。
流量計の値が目標重量値になる直前で、液の流れをバルブを使用して止めます。

粉末の充填方式

粉末の充填方式には3つの方式があります。

  • オーガー式
  • 升式式(ボリューム式)
  • アコフィル式

オーガー式

スクリュー状の棒をオーガーと呼びますが、このオーガーを回転させて粉を押し出し充填するのがオーガー式です。
回転数を正確に管理することで計量器とドッキングし、目標充填量直前でスクリューを止めることで充填精度を確保します。
この方式は液剤でも使用されるケースがあります。

升式(ボリューム式)

パイプ状の棒を、粉末の入ったバッドに挿入します。パイプには、バッドへの挿入した深さ分だけ一定量の粉が入ります。充填する際は、パイプに空気を送り込み容器上部にてパイプから粉を切り離します。バッドへの挿入時に付着したパイプ先端の粉は、容器までのパイプ移載時に板により擦切られます。

アコフィル式 

アコフィルという外周にポケット穴がある円盤が縦型に配置され、そのポケット穴に粉末をオーガーなどで送り込む充填方式です。
円盤は回転し最下部に到達した位置で、ポケット穴にある粉末を、空気などを使用し、切り離すことで充填します。

顆粒の充填方式

顆粒の充填方式にはバイブレーター方式があります。

バイブレーター方式

顆粒とは、粉末よりも粒径の大きい粒のことを言います。顆粒の入ったホッパータンクより振動フィーダーにて顆粒を送り出します。一定量に到達するまで振動移送させ、重量または計数の管理値にて振動を停止させます。

各製造業界の充填の特徴

ここでは、業界ごとの充填の特徴について解説します。

食品業界の充填

食品業界の充填物には、飲料や調味料などの液体、小麦粉などの粉体、はちみつやクリームなどの粘体といったあらゆる状態の食品があります。
そのため、充填物によってピストン式や重量式、ギヤーポンプ式など様々な種類の充填機が使用されます。
容器はビンや缶、ボトルなどが使われることが多いです。

医薬品業界の充填

医薬品業界では、洗浄液やクリーム状など様々な充填物があり、あらゆる容器に対応できる充填機が使用されています。
また、大きな特徴としては、CIP/SIP に対応する充填機を使用するケースがあることです。
常に清浄に保つ必要がある医薬品業界では、異物の混入や汚染を防ぐ目的でCIP/SIP に対応できる充填機が多く採用されています。

化粧品業界の充填

化粧品業界の充填物には、液体状の製品だけでなく、シャンプーや乳液といった粘体の製品も多くあります。
そのため、液体の充填に適したピストン式や重量式だけでなく、粘体等の充填にも対応できるギヤーポンプが使用されるケースがあります。

まとめ

充填にも様々な方法があり、充填する商品にあった方式を選定する必要があります。
今回は概略の説明に過ぎず、充填方式を一つ一つ掘り下げると更に専門的な知識を要する上に、機械メーカーにより、選択できる充填方式が限定されるケースが多いです。

スズキエンジニアリングでは、様々な充填方式の対応ができ、お客様にあったご提案が可能です。社内一貫製造を強みとしており、迅速かつ高品質な充填機をご納品いたします。
これから導入をお考え場合、不安な点も多いと思いますが、お気軽に弊社までご相談ください。